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ハツコイ♥アゲイン
第6章 魔法の言葉
……暗くて、深い闇に……一筋の光が入ってきて
凍った心が少しずつ溶けていく。
「陽向…」
「とは言っても
人と違うことをするのは、勇気がいるよな」
箱からもう1本煙草を取り出して、陽向が体を正面に戻した。
「……俺だって分かんねぇよ」
「………!」
「これが進むべき道なのか。
自分が本当にやりたかったことなのか」
「………」
「具体的にどうしたいとかねぇしな。
お前とそれほど変わらないさ」
……そんなことない。
私には分かる。
貴方はきっと、海の向こうでいつも戦っている。
芯の強い心を持って
真っ直ぐ前だけを見て
─── 私が好きになった月岡陽向は、そういう男だ。
「……見つかるかな、私にも」
漆黒の文字盤を、一定のリズムで時を刻む秒針。
自分の鼓動と重なって、忘れていた何かが体の中に広がっていく。
「今はまだ分からないけど。
あの頃のように、夢中になって出来る何かが…」
「何をしていいか分からねぇなら」
「………!」
陽向が、私の手に触れた。
「── まずは、自分を好きになれ」