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ハツコイ♥アゲイン
第7章 惚れない理由が無い

ってヤバイ、今何時だろう。


「ゲッ、9時過ぎてる!」


外から見えるお店の掛時計が、回転の時間を示している。

客層が変わるこの時間帯に、いかに仕事を進めておくかが大事。
お昼の混雑時の忙しさを左右させるのだ。


店長の粋な計らいとはいえ、喋りすぎたな。

急いで戻る為に回れ右をした私の、その後ろから……



「胡桃」



再び、私を呼ぶ声。
すぐに振り返る。


「うん、何?」

「………」

「? どうしたの…」

「お前、変わってないな」


……えっ?


突然のその言葉の意味が分からなくて、顔を上げると
私を見つめる陽向が、ふっと優しい笑みを浮かべた。



「胡桃の笑顔は、見ているだけで心が明るくなる。
元気を貰える」

「………!!」

「そう感じるのは、俺だけじゃないと思うぜ」

「………っ」

「じゃあ、またな」



アイスコーヒーを持った手を、軽く持ち上げて
もう一度私に向けて陽向が笑った。



「行ってきます」



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