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ハツコイ♥アゲイン
第7章 惚れない理由が無い
「タイミングが1分ずれていたら、気付けなかった。
お前の走る姿を見逃したら、俺はここに来れなかったんだ」
「………!」
「分かるか? 助けられなかったんだよ」
動かない私の両腕を持って、軽く揺すってくる陽向。
……言い聞かせるように、諭すように。
真剣なその瞳から目が離せない。
「お前の性格は知ってるけど、普通こんな行動はしない。
相手が凶器を持ってたらとか考えりゃ……
~~胡桃、ちゃんと聞けよ!」
分かってる。
軽率なことしたって分かってる。
でも気付いたら体が勝手に動いちゃったんだもの。
「実際お前殴られたんだぞ」
「………っ」
「モデルやってたんだろ。
顔傷つけられてんじゃねぇよ!」
……足が僅かに震えてきた。
でも、違う。
叩かれた頬は痛いけど
今更、泥棒に対する恐怖が出てきたわけじゃない。
こうして正論で怒られていることが、悲しいわけでもない。
……来てくれた。
陽向が、追ってきてくれた……っ