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ハツコイ♥アゲイン
第9章 もうひとつの再会
── 陽向と居ると
私の五感の全てが研ぎ澄まされて
大袈裟ではなく、本当に世界が美しく見える。
聞こえてくる音も、漂う香りも
味わいも、触れるもの全てが愛おしい。
ひとつひとつの瞬間が、最高に楽しいから
── この時の私は
完全に浮かれていたんだけど……
「同じオフィス街でも、雰囲気は少し違うよね。
わー、人いっぱい」
「離れんなよ」
「はい!」
会話しながら巨大な交通ターミナルを降りた、繁華街とは逆方面。
日本一利用人口が多いってことだけは知ってるけど
新宿なんて滅多に来ないから、人混みの中を陽向の後に続いて歩いていく。
高層ビルの間の、洗練されたアスファルトの途中
多くの社会人が行き交う、広い歩道の真ん中で
突然、陽向が立ち止まった。
「……?」
この時、ふいに足を止めた事よりも
……どうしてかな
理由は、自分でも分からないけど
表情の見えない、陽向の後ろ姿を見上げただけで
── 吹き抜ける風が変わったような
心臓が締め付けられるような
瞬時に、胸騒ぎを感じたんだ。