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第10章 5年前の恋心

「ちょうどあの年……社会人としては３年目か。
今回のように、数ヶ月限定で陽向が帰ってきていた」

「………」

「学生時代に逆戻りしたように、仕事終わりに飲み行って
取引先のツテで回って来たコンパに、俺が誘ったんだ」


ドキッと胸が鳴って、姿勢を正した。

── 兄妹だから、分かる。
お兄ちゃんが過去話まで遡ったのは……この本題に繋げる為だ。


「俺と翔太と、陽向。
相手は商社の受付嬢で、その１人が彩ちゃん」

「……！！」

「もう１人は……胡桃も覚えてるだろ」

「～～出た！ 麻里奈！！」

「・・・呼び捨てするなよ…」


“ 商社の受付嬢 ” でピンときて
かぶせ気味で叫んだ私から、お兄ちゃんが若干気まずそうに目を逸らした。

わーわーわー！
まさかここでその名前を聞くなんて！！