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第10章 5年前の恋心

ドン引きなお兄ちゃんの発言だけど、確かにお兄ちゃんとの馴れ初めだけしか聞けなかった気がする。
さすが麻里奈様！


「……でも待っておかしいよ」

「ん？ 何が？」

「その合コン、お兄ちゃんがモテてたって聞いたよ」

「あー、結構気合い入れてたから…」

「いくら麻里奈フィルターが掛かってたとしても、陽向を差し置いてそれはありえないよ。
陽向が世界で１番カッコイイもん」

「………」


兄妹なのにこんな会話が出来ちゃうのは、お互い結構な量のお酒が入ったからだ。

とはいえ、心からそう思うから大真面目で言ったんだけど
しら～っとした顔でお兄ちゃんは、小さく溜息を漏らした。


「胡桃がそう感じるように、誰にでも自分の好みがあるし
ストライクゾーンだって人それぞれで違うだろ」

「それはそうだけど…」

「あの飲み会は、まさに “ それ ” が交差したんだ」