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ハツコイ♥アゲイン
第10章 5年前の恋心
“ 大したことでも何でもないの。
今夜の予定が、ドタキャンされただけ ”
“ ……忙しいのは、相変わらずか ”
マリッジリングが光る指で、ストールを握り締める彼女を
拳を握って見つめる陽向の表情が、頭から離れない。
「……陽向のあんな顔……初めて見たわ」
「………!」
「悲しそうで、辛そうで
でも、なんていうか……すごく綺麗だった」
映画のワンシーンのように
2人が向き合うその場所だけ、別世界みたいだった。
見た目も中身もまだまだ子供っぽい私とは、絶対そんな雰囲気にならないもん。
それだけ彩さんを……
今でも忘れられないってことなのかな。
……あぁ、心が真っ暗だ。
どうやってこの気持ちを切り替えればいいんだろう……
「ははっ」
「………!」
ずーんと沈む私の前で
なぜかお兄ちゃんが突然吹き出した。