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ハツコイ♥アゲイン
第10章 5年前の恋心
「胡桃の携帯、さっきから振動してる」
「………!」
「見てみろよ」
お兄ちゃんに促されて、バッグに入れたままのスマホを取り出すと
……陽向からの着信が何件か残っていた。
夜の10時になろうとしている。
「俺、今からシゲさんのBARに行ってくる」
「……えっ!?」
「多分香も咲原もそこで飲んでるだろうし。
追い返されそうだけど」
「え、で、でも私は…」
「新宿ヒル○ン、ラウンジの朝食は絶品。
滅多に行けるところじゃねぇよ?」
……私、さっきの短い間にどれだけ喋ったんだろう。
今更恥ずかしくなってきた。
「── 過去に戻れるわけじゃない」
「………!」
「俺もあいつらも、三十路になったいい大人なんだ。
それぞれがちゃんと分かってる」
「………」
「だから胡桃は余計なこと考えなくていい。
期間限定だとしても、お前達は今恋人同士なんだろ」
立ち上がったお兄ちゃんが、私を見てもう一度微笑んだ。
「 “ 彼女 ” として出来ることがあるよ。
俺と翔太には言えない、滅多に心境を口にしない陽向の本音
……辛くても、聞いてあげて」