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ハツコイ♥アゲイン
第12章 restart
「途中から気付いてたから。
ワザと聞こえるように言ったのよ」
しれっとした態度で、残りのビールを飲み干した彩ちゃん。
陽向と俺を交互に見てから、ふっと笑った。
「せっかく仲良し3人組が集まったんだもの。
嫁とはいえ、私はここで退散するわ」
「……!」
「男同士、遠慮なく。
どうぞ気が済むまで飲んでください」
椅子から立ち上がった彩ちゃん。
翔太にカラのグラスを渡して、座るように促す。
凄ぇ…
名残惜しさみたいなのが、全く無いし
無言で視線を逸らす翔太を見ると、夫婦の位置関係がよく分かるわ。
俺と香と同じ……
「陽向、またね」
煙草をふかす陽向に、彼女はひらひらと手を振った。
「少しの時間だったけど会えて良かった。
久しぶりな感じが全然しなかったわ」
「……あっそ」
「冗談ばっか言って遊んでないで、そろそろ落ち着きなさいよね。
根は優しいんだから。
陽向が遠距離できるなら、私の友達紹介するし」
「………」
「また帰国する時あったら、声かけて」
真夏の夜だというのに
終始サッパリとした態度
最後はひんやりする程の空気だけを残して
彩ちゃんは店の外へと出て行った。