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ハツコイ♥アゲイン
第2章 兄妹格差
「胡桃! 起きなさい!」
「………」
「お兄ちゃん帰ってきたわよ!」
半分開いた部屋のドア。
階段下から私を呼ぶ母親の声でハッと目が覚めた。
・・・今何時?
「お昼の12時!
まったく日曜日だからっていつまで寝てるのかしら」
さすがお母さん。
心の声が聞こえたみたい。
てゆーか、とっくに学生は卒業したというのに
今でもこうやって叫んで起こさなきゃいけない25歳の娘がいるって大変だな。
なんて、人ごとに心配してみたりして……
「胡桃!」
「聞こえてる、今降りるよ」
寝起きの掠れた声で返事をして、ベッドから気だるい体を起こした。
窓からギラギラと照りつけてくる夏の日差し。
「……暑…」
汗ばんでベタつく髪を束ねながら、目覚める前の記憶を辿る。
“ 俺の彼女になってよ、胡桃(くるみ)ちゃん ”
……夢、見てたんだ私。
懐かしすぎる、遠い日の記憶。
って10年前だからそこまで昔ってわけじゃないけど
─── あれは間違いなく、私の人生で1番キラキラしていた日々。