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ハツコイ♥アゲイン
第14章 伝えたい想い
9月の2週目、土曜日。
真夏のピークは過ぎたと、TVで報道されていたけど
空港の待合ロビーに降り注ぐ太陽は、直視できない程眩しい。
荷物を預けに行った陽向を、待っている今
大きな電光掲示板で、フライト情報が忙しく更新されて
すぐ側にある全面ガラス外の滑走路から
また一機、飛行機が離陸していった。
「……化粧してくれば、良かった」
窓に映る自分の顔は、目を背けたくなるほど酷い。
朝までずっと抱きしめてくれていたのに
結局眠れなくて、クマが残ってしまっている。
……笑顔で、元気よく
いってらっしゃいって、言う予定だったのにな……
「胡桃」
ロビーの待合椅子に、膝を抱えて座る私。
「終わった」
「……っ」
「あとは乗るだけだ」
戻ってきた陽向にそう声を掛けられて
……ゆっくりと、その場から立ち上がった。