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ハツコイ♥アゲイン
第14章 伝えたい想い
今日は土曜日で、多くの企業が休みだというのに
見送りのこの場所には、私しかいない。
……お兄ちゃん達が、気を遣ってくれたからだけど
寂しい気持ちでいっぱいで……やっぱり一緒に来てほしかった。
「……胡桃」
フライトに慣れているから、軽い手荷物だけ。
一緒に買った、キーネックのシンプルなTシャツ
形のいいスキニーデニム
ボディバッグを胸の前にかけた陽向が、私の正面に立つ。
「笑えよ」
「………」
「な? 笑って」
俯く私に、優しくそう話しかけてくれる。
……分かってる。
分かってるけど……
「ったく」
黙ったままの私の前で
優しさを感じたはずの声が、普段と同じトーンに戻った。
「昨日まではあんなに素直だったのに。
恋人ごっこ、今日まで継続じゃねぇのー?」
「……!」
「感動的な別れのシーンなんだから
最後まで頑張って演じろ…」
「~~演じられないよ!」
「……!」
「てゆーか、演技じゃないでしょう。
……本当のお別れなんだもの……」