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ハツコイ♥アゲイン
第14章 伝えたい想い
── 陽向の乗った飛行機が、空に飛び立った後も
私は空港のフリーラウンジに残ったまま……椅子に座ったまま動けなかった。
「……奇跡、だったなぁ」
ポツリと呟いた私の声は、喧騒の中に消えていく。
脳裏に浮かんでくるのは
7月の暑い夜
突如訪れた、予期せぬ再会のワンシーン。
“ 月岡 陽向
ここにいる3人と同学年で、今年30歳 ”
“ スペインを拠点とするメーカーに就職したから
入社してすぐに、本社のある主要都市に配属されて
現在(いま)も海外赴任中です ”
……驚き過ぎて声が出せなかったのに
思い返せば最初から、陽向は平然とした態度だった。
“ 久しぶり、胡桃。
元気だったか? ”
“ なにこの手首。折れるんじゃねーの ”
“ ちゃんと食ってるか? ”
─── きっと、再会したあの瞬間から
私はもう、陽向をもう一度好きになっていたんだ