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ハツコイ♥アゲイン
第15章 ハツコイ♥アゲイン
……マジか、俺。
どのツラ下げて言ってんだよ。
会えるわけねぇだろ色んな意味で。
げんなりしながら体を起こす。
神誕生の喜びを緻密な彫刻で表すファザート
見上げると、またしても胡桃との遣り取りを思い出した。
“ 神様ー! ”
“ やめろボケ! なんだその呼び名! ”
“ 存在の例えを探してたら、神様しか思い浮かばなかったの。
魔法遣いって言いたかったんだけど、語呂が微妙でしょ? ”
「……アホか」
神がこんな絶賛メンタル不安定でどうする
特別なパワーなんてあるわけねぇし
……想いに気付いたところで
この腕で抱きしめることも……
── と思った、その時だった。
「……!」
何気なく、顔を上げた俺の前方
ファザートに繋がる階段の上から
ひとつの視線が向けられていることに気付く。
「……?」
なぜ気付いたかというと
周りが皆、夢中になってカメラで撮影している中
その女だけは逆に背を向け
微動だにせずこっちを見下ろしていたからだ。