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ドラスティックな恋をして
第6章 夫という現実
携帯電話を開いては、吉本昌宏のアドレスを表示させて見つめた。
いつ彼にメールをしようか、いつ電話をしてみようか、いつ・・
会う約束をしようか・・
考えるたび、依子の心臓は大きく収縮した。
なにを求めて、なにを期待して昌宏に会おうとするのか。
はっきりした目的なんてない。
古い言い方だがアバンチュールを楽しみたいだとか、
そういう安っぽい感情とも違う。
でも正直な気持ちを探り出せば、
男と女として係わっていきたいと思っていることは事実だ。
彼の、結婚に対する考えにも興味がわいた。
もっと詳しく聞いてみたい・・と、これはただの口実なのかもしれない。
が、とにかく、吉本昌宏という男をもっと知ってみたい。
その気持ちははっきりとしていた。
携帯電話が警告音を鳴らした。
充電が切れるぞとピーピーと音をたてた。
その手から携帯電話を放した。
充電器にさすと赤い光を点滅させている小さな機械。
感情もないし血も流れていない機械なのに、
愛おしさを感じている自分を、笑わずにはいられなかった。