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ドラスティックな恋をして
第12章 ドラスティックな・・終わり方

店の入り口まで来てから、依子は階段を振り返った。
自分の後ろには何もない事を確認するかのように、振り返った。
ここまでくるともう楽器の音は重なり合って、
昌宏の音はわからなくなっていた。

それにしても・・
おかしな方法を思いついたものだわ、私も・・

店を出る時、思わずクスッと笑いをもらした。
始まりにふさわしい終わり方。
こんなドラマ、もう二度と演じることはない、ともう一度、
依子はクスッと声を洩らして笑った。



通り沿いには楽器店が連なる。
駅へ向かって歩いていると、前を通りかかった楽器店から
昌宏が弾いていた曲が聞こえてきた。

この曲・・
でも誰の曲か、なんていう曲か知らない・・
知らなくてよかった・・

想い出を置き去りにできる・・

依子はもう後ろを振り向くことなく、駅へと歩いた。





end

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