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第7章 自覚

春、美桜は小学校を卒業した。
4月からは中学生になる。
春休み、もうすぐ晃一の誕生日。
去年はもう1人で焼けるようになったクッキーを焼いて、おばちゃんに託けた。
美味しかった、ありがとうという礼と、5月の美桜の誕生日には可愛いタオルハンカチのセットがママに渡されていた。

毎年バレンタインのチョコも欠かしたことはないし、今もそれは続いているが、お返しはいつもお菓子だったから、晃一から形の残るものを貰ったのが初めてで、凄く嬉しかった。持ち歩くのにもったいなくて使えないからいつも2枚持ち歩いている。手を拭くのはもう1枚の方を使う。

今年はパウンドケーキに挑戦した。ドライフルーツもナッツもたくさん入れて、美味しくできた。
1度に作った生地で、2台出来たから、1台は味見も兼ねてウチで食べた。パパは嬉しそうだったけど、焼いた理由が晃一の誕生日だと知ると複雑な顔になった。
今年はどうしても自分で渡したかった。
出来上がったばかりの、中学校の制服を見せたかった。