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パズル Ⅱ
第9章 夏祭
今日の美桜は、いつになく大人っぽい。

浴衣に、合わせて髪をアップにしているからだろうか…
浴衣もシックな古典柄で、それもあるのかもしれない。

白に近い淡いグレーの生地に、筆で描いたような波紋、赤と黒の金魚。
全体的にモノトーンだから、金魚の赤い色がすごく映える。

花火大会だけあって、周りにも浴衣姿の女の子が目立つが、総じてごちゃごちゃした感じの柄が多いから、そのシンプルな古典柄は珍しかった。

アップに纏めた髪にも、ガラスの金魚が着いたかんざしが刺してあって。
白いうなじに散った後れ毛と大胆に抜いた衿が色っぽく感じる。

高校生、くらいには見える…まいったな…
こんな姿を見せられると、抱き締めてしまいたい衝動に駆られる。

美桜への想いはしまい込んだはずなのに、いつでも簡単に取り出せてしまう、厄介なものでもあった…

ぶんぶん、と頭を振り、邪念を追い払う。
駅に着くと既にすごい人で。
会場までも誘導される順路を歩いていく。
はぐれないようにしっかりと手を繋いだ。
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