この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第7章 休日の小悪魔
「フフ、そう強がらないでください。先輩がいつも10センチ近いヒールで脚を酷使しているのも、もしかして強がりなんですか?」
「ぇ…」
「前から気になっていたんですよね」
先ほど取り上げたパンプスを横目で示しながら言われた言葉に、私はポカンと口を開けて返した。
間抜けた顔を彼に数秒さらした後
慌てて口を引き結ぶ。
「強が り…? なんのこと?」
「勝手な僕の想像ですけど…──ああ、少しだけ待っていてもらえますか?」
「あ! 葉川く…っ」
強がり、と言われた訳を私が理解するより先に、葉川くんが立ち上がった。
そして脱がしたパンプスを持ってそのまま店を回り始めた。
裸足の私はソファーから離れるわけにいかなくなり、まんまとこの場に縫い付けられる。
──
「いらっしゃいませ、お客様」
代わりに現れた店員に、座ったまま頭を下げる。
私は靴を買うつもりなんてないのだから、若干の気まずさがあった。
「ごめんなさい。購入までは考えていなくて…」
「ご試着だけでもどうぞ。お連れの男性が選んでくれているようですし、私どもはカウンターの方におりますね。何かありましたらお声かけください」
メガネを買ったときの若い店員と比べて、ここの店員は落ち着いていて品がある。
二人の邪魔はしませんよとでも言いたげに、早々に私から離れていった。