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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第12章 変われない
それからは枝豆と、続けて運ばれてきたサラダと酢もつをつまみながら酒を進める。
この炙り酢もつ…本当に美味しいわ。歯ごたえとか癖になりそう。
そして、その間の会話は仕事のことが主だった。
会社のこと、今たずさわっているプロジェクトのこと、上司の愚痴…
ここで弁解しておくと、私は藤堂さんの愚痴を可能な限り喉の途中で堪えている。
私はほとんど聞き役に回っているし。
“ …こういうところも、あの頃のまま、か ”
二ヶ月前までの交際期間を思い出し、私はこの雰囲気を奇妙だと感じた。
奇妙なほどに " 自然 " なのだ。
私たちは…確かに、もう、別れているのに。
「おっ、きたきた!玉子の天ぷら。これひとつしかないからお前にやるよ」
「……」
「代わりにコロッケは俺が2つ食べるけど?季里はひとつでいいか?」
「いいわよ」
目の前で自然に振る舞う " 元カレ " が奇妙だ。
そもそもなんで食事をすることになったんだっけ…。
二人で外を歩いていて
腹がすいてないかと啓輔に聞かれて
夜はまだ何も食べていない私は、それをそのまま彼に伝えたからだ。