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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第16章 汗と横顔
「そういう先輩は?」
「そうね…。君くらいの時は、駅近のジムでボルダリングとか休暇に登山とかしていたわ」
「ボルダリングですか」
「ストレス発散になったから。…でも、もう若くないし…そんな体力ないわよ」
「今だって先輩は十分に若いですよ」
「はいはい」
「おーい、立花! 悪いが俺のタイムを計ってもらえないかー!?」
「……ハァ」
葉川くんと話していると、次に走る藤堂さんが私を見付けて呼んだ。
私は重たい腰を何とかあげる。
「ちょっと呼ばれてるから戻るわね。これ、ありがとう」
もらった水はすでに半分ほど飲んでしまった。
少しの悪戯心からペットボトルを葉川くんの首に押し付けてみると、冷たいですよと彼は珍しく慌てた。
私も柄になく笑った。
なんだか腑に落ちないけれど、スポーツってこんなふうに人を変える力があるとか…
…ないとか。
まぁそれはどっちでもいいんだけど。
ちょっとした事件が起こったのが、さらに一時間ほど後だった。