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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第17章 家族ほど面倒なものはありません
だから葉川くんは結婚しない──。
その決意を責めることは、誰であろうと不可能ね。
“ ハァ……駄目だ、泣きそう ”
ここで私は溢れそうになる涙をこらえる。
両手で顔を隠したままじっとしていた。
私は身勝手な女だから、彼の過去を憂いて泣きそうになっているわけじゃない。
私がこんなに悲しい理由は──自分の中で明らかだった。
「あの、どうされましたか」
「……」
「…先輩?」
急に私が黙るから、葉川くんは戸惑っている。
ごめんね。
そりゃそうよね。
でも次に口を開いたら私は、ワガママを言って君をもっと困らせるわ。
それは年上の女としても、職場の先輩としても不適切でしょう?
だから黙るしかできないのよ。
“ これ以上喋ったら、私は──ッ ”
スっ──
「──…僕はあまり、我慢強くありませんよ」