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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第17章 家族ほど面倒なものはありません
いいえ
強情なのは、初めて会った時から知っていたわ。
「…ご両親が離婚した後、君はどうしたの?」
「僕は叔父に引き取られました。それで、叔父が所有するこのマンションで高校の時からひとり暮らしです」
「そう…。悪かったわね、あまり思い出したくない過去を掘り起こしたかもしれない」
「フっ…、構いませんよ」
中学生という多感な時期に親が離婚。
辛いことも沢山あっただろうに、葉川くんはそれを話さない。
彼はそういう人よねと納得してから、私は被さっていた身体を引いて、下敷きになっていた彼を解放した。
ハァ…
私は両手で顔を隠して、大きく溜め息をつく。
葉川くんのことを知れた喜びとか、知ったうえでの虚しさとか……そんな感情からくる溜め息だった。
『 僕が結婚なんて、想像できません 』
そう言う葉川くんは決して軽い男ではなかった。
そこにはちゃんと理由があって…
家族という繋がりが、いかに面倒で大変で、そして大切であるべきかを知っているからこその言葉。