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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第4章 誘惑のドライブ
「何?」
「試験のことで。建築法規の対策におすすめの参考書はありますか?」
「法規の…? そうね…」
隣のデスクから葉川くんが尋ねてきたのは、二級建築士の試験対策についてだ。
一級を受験するには実務経験が必要だけれど、二級なら大学を卒業することで受験資格を得られる。
早めに資格を取るのに越したことはないのだから、私に教えられる内容なら聞いてくれて構わない。
ただ
「法規なら、参考書は薄くていいわ。その代わりに問題集は厚いのを使った方がいいと思う」
「……」
「問題を解いてわからなかった所を、参考書を辞書代わりにして………」
「……」
「……聞いてるの?」
「聞いていますよ」
癖なのか、わざとなのか
こうして話している時の視線が──露骨すぎる。
彼は黙って私の目を見つめながら口の端で微笑んでいる──。例外なく、毎回ね。
私の顔に何かついていますかと、お決まりの台詞がこぼれそうだわ。