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僕の大事な眼鏡さん。
第2章 もしよかったら、ご飯食べに行きませんか?
金曜日の朝、教室に入る。

 いつもの定位置は真ん中の、やや左寄り。まだ時間があるから、大好きな音楽を聴いて少しだけうたた寝をする。

 右側に気配を感じ、薄ら目を開けると安藤が座っていた。

 見た目は金髪でハデだけど、以外と趣味や話が合うんだよな。お互い、上京してきてはじめて出来た友人。

 そうだ、今夜眼鏡さんとの食事にどんな店がいいか聞いてみよう。

「ねえ、安藤。ご飯何食べに行ったらいいかな?」

「…あ?」

「いやぁ、じつわさ。バイト先のお得意さんとご飯行くことになったんだけど、どんなお店がいいかな?」

「へぇ。女?いくつ?」

「女。歳は…多分、年上。二つか三つだと思う。」

「うーん。じゃあ、駅前の居酒屋あたり?で、可愛いの?」

「うん。めちゃくちゃ、可愛い。かなり、ストライク。眼鏡がすごく似合ってるんだ。僕が眼鏡フェチだとは思わなかった。」

「ふーん。眼鏡ね…。」

 安藤はちょっとつまらなさそうに、ノートや教本をペラペラ捲る。

「な、なんだよ。人の嗜好になにか?」

「いや、いや。へー。秀太が好きな人かぁ。それもいつの間にかに飯なんか誘ってんだ。」

「かなり、勢いもあったけど。OKしてくれるなんて思わなかったし。」

「なぁ、俺も行っていい?」

 思わず、安藤を見る。安藤も目を輝かせて、僕を見ている。

 い、いや。さっきまで興味なさそうだったじゃん?え、なんで安藤も?

「なんで、安藤もついてくるの?意味わからん。」

「えー。だって、秀太が心配じゃん。そんな、年上の眼鏡女に秀太が食われちゃうかもしれないなんて。」

 …食われるなんて、ない、ない。逆に僕が食べたいんですけど。

「なぁーいいだろ?それなら、駅前の居酒屋行こうよ。」

「…安藤は飲めるけど、僕、飲めないし…。」

 そう、何気に安藤は二浪してるから二十歳越えてる。

「まぁ、まぁ。後で連絡しといてよ。俺も参加するって。」

 面倒だな。

 仕方ないか。早速メールを打つ。

 時々、面倒臭いし迷惑な奴だと思ったりする。色んな女の子と付き合ったり、その辺の子をナンパしてみたり。

 それでも、僕が安藤と付き合うのは見放す事が出来ない。繊細で、寂しい思いばかりしているのを知っているから。

 安藤をそっと見ると、携帯で音楽を聴きながら鼻歌を歌っている。
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