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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】
しかしながら――【♧J】と【♡J】の相殺は、悪い判断であったとは思わなかった。仮に山札を用いたとしても、【Q】か【K】を引き当てる可能性は極めて低い。
余裕を唯の態度はやや気になったが、正直は次の勝負へと気持ちを切り替えてゆく。
正直のターン。残す手札は――【♤9】のみ。カードの選択の余地はなかったが、後は『HIGH』『LOW』の何れの宣言にするか……?
当然、確率的に鑑みたなら『HIGH』の場面ではあった。だが正直は最初のターンを踏まえ、唯の手札には【4】以下のカードがないと踏んでいる。
それに加え前のターンで唯が提示した【♧J】。まだ様子見をしたい一枚目として、それを選んだのだとしたなら。それ以上の大きな数字が、手札に残されている可能性は高いように思えた。
その様に考えを巡らせた末――。
【♤9】
「LOW」
正直は敢えてその様な形で、勝負に出ている。