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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】
「……」
璃子は再び、チラシの文言をじっと見つめた。
「なにか、気になることでも?」
「あ、いえ。別にそういう訳では、ありませんが――」
正直との約束を悟られまいとして、逆に三嶋へこんな話を向ける。
「ここに携帯番号が、記載されています。先輩――試しに電話をかけてみては、いかがでしょうか?」
正直と連絡不通である件がチラシと関係しているかは不明ではあるが、少なくとも何らかの手がかりであるようには思えていた。
しかし、そう促された三嶋は、惚けた顔で言う。
「俺が、電話? なんで?」
「友達じゃなかったんですか!」
その態度をあまりに薄情だと感じて、璃子にしては珍しくその語気を強めた。
「男同士なんて、大体そんなもんだよ。別に二、三日音信不通になったくらいで、心配なんかしないから。俺だって女に夢中になれば、男友達の連絡なんて余裕でシカト――!?」
三嶋は話している途中で、璃子に睨まれていることに気がついたらしく。
「あ、俺と一緒にするなって? ハハハ、そうだった」
璃子の機嫌を窺いつつ、三嶋は愛想笑いを浮かべた。