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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】
どうしていいのか、どう声をかけていいのか。それがわからずに立ち竦む正直に、一切の感情を押し殺したような唯の言葉が投げかけられた。
「私は最初から意味など問うつもりは、ありませんから。これは単なるゲーム――そう、ほんのお遊びなのですよ」
「……?」
「――ですが、決め事を反故にすることは、私と正直さんの間にあってはならないこと。仮にそれを許したなら、二人のエデンを否定することになるでしょう」
契約という名の約束を以って、二人はこの空間を共にしている。唯の言っていることは、そういう意図だろう。辛うじてそれは、理解した正直であるが……。
「だから、既にこれが――どちらの罰であろうと関係ありません。いいえ、仮に正直さんの罰になろとも、私はこれを遂行させていただきます」
唯はそう告げると、再びゆっくりと両手を背中に回した。恐らく胸を覆う下着を脱ぎ去り、次いでそのままマスクだけを残して全裸になろうとしている。
そして――
「だから、待てって言ってるだろ!」
「いいえ、待ちません」
荒げた正直の声に、その手は止まることはなかった。
「だからお願い。せめて、私を見て」
その刹那、軽く弾けるようにしてブラジャーが外れる。