この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
ピピピ、ピピピ――
アラームの耳障りな音。
「ん……!」
丸めた毛布と共に乱れる、ベッドの上。カーテンの隙間より、差し込む陽射しが眩しい。
「ふぁあ……眠っ」
欠伸をしつつ、とりあえずスマホのアラームを停止。しかし、まだ呆然としながら、雑然とした男の一人暮らしの狭い部屋の中を見渡す。
見慣れた風景の中で、目が覚めて――朝。
目覚めたのだから、朝なのが当然と言うならやや語弊があろう。殊に怠惰な大学生の場合は、そうとは限らない。実際に午前中の内に始動するのは、今週まだ二回目のことだった。
そんな大学生活を送り続けて、今年で四年目。
ともかくこの時点に於いて、其処はまだ日常の一コマだった。