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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
 身体を起すと、ベッドの端に腰掛ける。まだ寝惚け眼をしながら、髪をクシャクシャと掻いた。そして、枕元に転がっているスマホへと無造作に手を伸ばす。

 それを、見て――

「ヤバッ!」

 一気に意識が覚醒したのは、現在の時刻を確認したからであった。スヌーズ機能に何度も甘え続けた結果、本来起きようとした時刻を既に二十分も過ぎている。

 慌てて洗面台の前へ行くと、水を出し顔を洗う。タオルで顔を拭いつつ鏡を見ると、寝癖の頭髪が大爆発を起こしていた。

「ああっ、もう――最悪」

 髪を整えている間などなく。水道をシャワーに切り替えると、洗面台に下げた頭より水をかぶった。

 そうして濡れた頭にタオルを巻きつけながら、服を着替え出かける準備を急ぐ。
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