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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】
「昔のこと……?」
唯への関心が増しゆく正直にとって、その過去への興味は尽きない。
何故、一人でいるのか?
何故、マスクで顔を隠すのか?
何故、自分をエデンに導くのか?
それらの疑問の答えは、其処にある筈だ。
しかし、やはり唯はそれを語らなかった。
代わりに一つを、正直に問う。
「今、私――生きていますか?」
「……」
正直はそれに応えられずにいた。何も考えずに頷こうとしたが、それはできない気がした。その問いがあまりに深い処にあるような気がして、自分が及ばないのだと思った。
結局、それ以上一言も交わすことなく、その三日目は終わっていった。