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【マスクド彼女・序】
第5章 四日目・五日目【表側の景色と裏側の闇】
「お、おはよ……」
まだ目覚めが覚束ない顔でエデンへ。
とりあえず部屋の真ん中で見かけた背中に、そんな挨拶をした。
が、正直は既に、大きな違和感を覚えている。
えっ……?
ゴシゴシと目を擦った。一瞬、見間違えたと思った。
だって――その後ろ姿は――いつもよりも、ずっと背が高いから。
そしたら――
「――!」
その人物も気配を察し、直後――徐に振り向いていた。
「あっ……ああ……」
正直は思わずそう声を漏らし、顔中にその驚きを顕わにする。
「どっ、どうも――おはようございます」
深々と丁寧に頭を垂れ、彼女は緊張気味に挨拶を返した。
数秒して、お辞儀を終えた顔を、正直は再びまじまじと眺め――そして、こう訊ねる。
「あ、新垣さん…………が、どうして?」
それに対し――
「あの、先輩……それが、ですね……」
紅く染めた顔を少し逸らすように、新垣璃子は困ったような笑みを浮かべていた。