この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
そうして暫くすると、いつの間にか眠気に襲われている。
「――!」
微睡の途中で、ふと気づく。飾り気のない部屋の目の前の壁に、只一だけ小さな絵が飾られていた。
「ん……?」
正直は、ぼうっとした眠そうな瞳。暗がりの中で見つめたのは――額縁に入った、黒猫の絵。
不思議と何処かで見たような絵。否、見たような気がしたのは、その『黒猫』なのだろうか。
「気の……せい……だ、ろ?」
別に……何処にでも居そうな、猫。
僅か気を止めたのも束の間。
この夜、正直はそのまま夢の最中へと誘われていった――。