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ロッカールーム
第15章 10日目…♂
「坊、どうだった?」

「僕の形に孔が開いてました。」

思ったままの興奮を語った。最中はともかく、扉が閉まる瞬間の、『あい』の体に残した自分の形が、何とも言えない達成感と支配欲を満たしたのだ。

「そうか、良かったな。」

ロクさんが僕の喜びを自分のことのように喜んで、
ガシガシと頭を、髪型が崩れるほど撫でた。

恥ずかしさもあり照れ隠しに笑う。

ロクさんはそれすら嬉しそうで、ホットタオルを僕の分まで取ってくれ、並んで座った。

「全然関係ない話だが、坊は仕事も一年生なんだろ?」

「はい。」

「どうだ?」

「どうって…普通です。」

「そりゃ、普通だろうが、面白いか?」

「え?面白いって?仕事ですから…」

「あはは、やっぱりそうか、今、世の中変わって、終身雇用にこだわる必要もないし、仕事への意義とか感覚も変わってきてるよな。」

「はあ…」

「でも人生の半分、いやそれ以上を仕事に捧げるんだ。楽しまなきゃなぁ。」

「楽しむ?」

「そう、やりがいとか達成感とか…そうすりゃ意欲も湧くんだとよ。」

「達成感ですか。僕はさっき、自分の形に変えた時、達成感を覚えましたけど、仕事じゃ感じたりしません。」
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