この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
歪んだ鏡が割れる時
第4章 第四章
風に飛ばされた落ち葉が足元に溜まっている。外階段の照明に集まってきていた虫達が姿を消し、代わりに秋を告げる虫が、どこかで小さく鳴き始めた。
階段を駆け上がってドアを開ける。
「ただいま」
明かりを点けて、テレビのリモコンのスイッチを押す。買ってきた焼肉弁当とコーラをテーブルに置き、洗面所で手を洗って、今日も一人の夕食をとる。
職場の騒音から解放され、まったりと過ごせるこの時間が気に入っていたのに、最近侘しく思えてきたのは、ユウが来なくなったからなんだろう。
「あいつ、どうしてるかな……」
外を眺める度に、あの家のポストに向かって歩くユウの背中を思い出した。
「いったいどうなってるんだ」
ユウがあれを投函した次の日も、その次の日も、あの家に変化はなかった。
女は相変わらず気取った様子で出かけていたし、それどころか、不倫相手の車が堂々と停まっているのも見かけた。
何一つ変わってない。
なぜだ……。
俺はユウと二人で確認したんだから。旦那が封筒を開け、写真を見ているのを。
わけがわからない。
妻の不倫を目の当たりにしながら、知らないふりができるのか?
第三者に知られて、脅迫状まで届いたっていうのに。
あいつはあの公園に行ったんだろうか。
誰も来ないと知って、だんまりを決め込んだのか?
なんで見て見ぬふりをする……。
家庭の平和のため?
いいけどべつに。
とりあえず、俺が他人の家庭を壊した事にはなってないんだし、今はまだ。
階段を駆け上がってドアを開ける。
「ただいま」
明かりを点けて、テレビのリモコンのスイッチを押す。買ってきた焼肉弁当とコーラをテーブルに置き、洗面所で手を洗って、今日も一人の夕食をとる。
職場の騒音から解放され、まったりと過ごせるこの時間が気に入っていたのに、最近侘しく思えてきたのは、ユウが来なくなったからなんだろう。
「あいつ、どうしてるかな……」
外を眺める度に、あの家のポストに向かって歩くユウの背中を思い出した。
「いったいどうなってるんだ」
ユウがあれを投函した次の日も、その次の日も、あの家に変化はなかった。
女は相変わらず気取った様子で出かけていたし、それどころか、不倫相手の車が堂々と停まっているのも見かけた。
何一つ変わってない。
なぜだ……。
俺はユウと二人で確認したんだから。旦那が封筒を開け、写真を見ているのを。
わけがわからない。
妻の不倫を目の当たりにしながら、知らないふりができるのか?
第三者に知られて、脅迫状まで届いたっていうのに。
あいつはあの公園に行ったんだろうか。
誰も来ないと知って、だんまりを決め込んだのか?
なんで見て見ぬふりをする……。
家庭の平和のため?
いいけどべつに。
とりあえず、俺が他人の家庭を壊した事にはなってないんだし、今はまだ。