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歪んだ鏡が割れる時
第4章 第四章
でも、ユウがこの事をを知ったらどう思うだろう。怒り狂うのか、笑うのか、蔑むのか……。
それとも、また別の何かを企てようとするのか。
あれ以来連絡はとってない。上手くいったと思ってくれてる方が気が楽だったし、また前みたいな関係に戻りたくなかった。
向こうからも連絡がないところをみると、あいつが言っていた通り、"証拠"は姿を消したんだろう。
後腐れのない、不思議な、かわいいやつだった。
あいつは何一つ残さず……、いや、ちがうな、俺の中に苦い痛みを残して消えた。
あの家の旦那が帰宅する度に、どんな気持ちでアプローチを歩いているのか、どんな気持ちでドアを開けるのかと気が滅入った。
ポストを確認するのが日課になってしまったヤツの哀しさを思うとやりきれない。
舐められていると思いながら、過ごす毎日はどんなだ?
いつか仕返しするつもりでいるんだろうか。
余計な事をするんじゃなかった。
なんであんな事を思いついたんだ、俺らしくもない。
もっとこじんまりとした人間だった筈なのに。
俺は毎日後悔した。でもなんとか、茜からの電話のお陰で気持ちを切り替えていた。
「いよいよ明日会えるね」
「明日か、楽しみだな」
「ねぇ亮ちゃん、面接終わったら、あそこでいいよね、新宿駅の東口を出たとこ」
不安なのか、声が小さくなった。
「うん、前もそこで待ち合わせたからわかるよね、3時でいい?」
「うん、それで大丈夫だと思う。あー、どきどきする」
「え、俺と会うのが?」
「もちろんそれもだけど……私、浮かないかな」
それとも、また別の何かを企てようとするのか。
あれ以来連絡はとってない。上手くいったと思ってくれてる方が気が楽だったし、また前みたいな関係に戻りたくなかった。
向こうからも連絡がないところをみると、あいつが言っていた通り、"証拠"は姿を消したんだろう。
後腐れのない、不思議な、かわいいやつだった。
あいつは何一つ残さず……、いや、ちがうな、俺の中に苦い痛みを残して消えた。
あの家の旦那が帰宅する度に、どんな気持ちでアプローチを歩いているのか、どんな気持ちでドアを開けるのかと気が滅入った。
ポストを確認するのが日課になってしまったヤツの哀しさを思うとやりきれない。
舐められていると思いながら、過ごす毎日はどんなだ?
いつか仕返しするつもりでいるんだろうか。
余計な事をするんじゃなかった。
なんであんな事を思いついたんだ、俺らしくもない。
もっとこじんまりとした人間だった筈なのに。
俺は毎日後悔した。でもなんとか、茜からの電話のお陰で気持ちを切り替えていた。
「いよいよ明日会えるね」
「明日か、楽しみだな」
「ねぇ亮ちゃん、面接終わったら、あそこでいいよね、新宿駅の東口を出たとこ」
不安なのか、声が小さくなった。
「うん、前もそこで待ち合わせたからわかるよね、3時でいい?」
「うん、それで大丈夫だと思う。あー、どきどきする」
「え、俺と会うのが?」
「もちろんそれもだけど……私、浮かないかな」