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歪んだ鏡が割れる時
第4章 第四章
素直な気持ち、茜がそれを思い出させてくれた。

家に帰ったら実家に電話して、親に本当の事を話して謝ろう。


ユウは、あれからどうしただろう。
茜を見てどう思ったんだろう。
傷付いたよな、やっぱ。
タバコなんか吸ってなかった筈だ。変な連中とつるんでなきゃいいけど。

きっとあいつは今も、孤独なんだろう。

ごめんなユウ、ごめん。




俺はJRの改札を抜け、わけなく小田急線のホームにたどり着いた。

到着した電車に乗って、空いている座席にゆったりと腰掛けた。
腕組みして居眠りを始めるサラリーマンは、どこかで一杯ひっかけてきたんだろうか。

談笑している若い女性や中年夫婦、携帯電話を弄ってる若者。その中に座っているただの俺。
鼓動が速まってきても、深呼吸をして自分を落ち着かせた。

焦りもない、気後れもない、今こうしている俺を、客観的に見つめる自分がいた。


最寄駅で降り、月を見上げて歩く。
さっき茜と歩いた道が、心地よい明日へと続いていく。

コンビニを通り過ぎ、信号待ちで立ち止まった。
横に並んだ若い男が、カップ麺と缶ビールの入った袋を持っている。同じ方向に歩き、アパートの前で俺を抜いて行った。
その背中に哀愁を感じる。

「がんばれよ」

ヤツに写し見た俺自身に向けて、小さな声でエールを贈った。












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