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歪んだ鏡が割れる時
第7章 最終章
ゴールデンウィーク初日。
私は帰宅してから、一度も腰を落ち着けることなくカレーを作り始めた。食べてくれる人がいるというのは、作る気になるという事だった。

雅人の好きなチキンカレー。
一人では作ったりしなかった。

頭の中には、話したいことがたくさんある。
これからの私達の事。

私が長野に行くと言ったら、喜んでくれるだろうか。
しばらくはあの狭いアパート暮らしも悪くない。
結婚してすぐは、狭いアパートだったんだし。 

新しい職場に慣れて、みんなに認められる仕事をして、そしたら……。

「赤ちゃん欲しくない?」

そう言ってみよう。

親になれるかな私達。

大丈夫、雅人となら。
これからの、私達ならきっと。

ぐつぐつと鍋が煮え、ご飯が炊けた。

野菜不足だろうから、トマトたっぷりの野菜サラダ。

テーブルには2人分の食器。

お風呂も沸いた。
肌着もパジャマも準備した。


ピンポーン……


玄関へと急ぐ。

おかえりなさいを言う為に。


「……た、ただいま、透子。あの、入ってもいい?」























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