この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
歪んだ鏡が割れる時
第7章 最終章
「えーっとたしか、去年の秋頃、ほら、若い男性がパールのブレスレットを……」
「あ、一人でじっと考え込んでた人?」
「そう、そうです、その人」
小さな紙袋をぶら下げて帰る、彼の後姿を思い出した。
「昨日は閉店ぎりぎりにお見えになって、彼女さんと二人、楽しそうに誕生日プレゼントを選んでましたよ。ピンクダイヤのリング、0.2カラットの物をご購入頂きました」
「まあそう、良かったわ。なんだか嬉しいわね」
彼の大切な人は、プレゼントを喜んでぐれたらしい。
「ほんと、仲良しさんでしたよ。そのうちきっと、婚約指輪もうちでお買い上げです」
「そうなったら言う事なしね」
「えぇ、私もがんばってお金貯めなきゃ」
美波は近頃、対面販売に自信をつけ、顧客も増えてきていた。仕事への取り組み方が白石と似てきて、頼りになる。
新人が入ってきても、しっかりと教育できるだろう。
私はおぼろげながらも、白石の提案を頭に描き始めていた。
乗り越える……2人で……。
雅人、やれるかな、私達。
2人で──。
「あ、一人でじっと考え込んでた人?」
「そう、そうです、その人」
小さな紙袋をぶら下げて帰る、彼の後姿を思い出した。
「昨日は閉店ぎりぎりにお見えになって、彼女さんと二人、楽しそうに誕生日プレゼントを選んでましたよ。ピンクダイヤのリング、0.2カラットの物をご購入頂きました」
「まあそう、良かったわ。なんだか嬉しいわね」
彼の大切な人は、プレゼントを喜んでぐれたらしい。
「ほんと、仲良しさんでしたよ。そのうちきっと、婚約指輪もうちでお買い上げです」
「そうなったら言う事なしね」
「えぇ、私もがんばってお金貯めなきゃ」
美波は近頃、対面販売に自信をつけ、顧客も増えてきていた。仕事への取り組み方が白石と似てきて、頼りになる。
新人が入ってきても、しっかりと教育できるだろう。
私はおぼろげながらも、白石の提案を頭に描き始めていた。
乗り越える……2人で……。
雅人、やれるかな、私達。
2人で──。