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歪んだ鏡が割れる時
第3章 第三章
「ぐぉっ……」

思わず嘔吐く。

「あぁ、透子」

「ぅぐっ……、うっ、んぐっ、んぐっ、うぅっ」

動けなかった。
息が出来ずに涙を流し、首を振ろうとすると、より奥へと押し込んでくる。

やめて、やめて、やめて……。

勢いをつけ、容赦なく喉を突いてきた。

「ォゴッ、ゴェッ、ゴェェ……」

声ではない、音を発していた。胃から何かがせり上がってくる。
息ができない。
苦しくてもがき、必死に身体を捻って足をばたつかせた。

「透子の口は小さいな」

雅人はそう言い、仕方無さそうに腰を引いた。

私は喉を押さえ、口内に広がった苦い液体を飲み込んだ。むせるばかりで声が出せず、鼻水と涙を手の甲で拭う。

夫は無言で体勢を変え、力を無くした私の足の間に腰を落とした。そしていきなり、渇ききってしまった膣を割って、強引に入ってきた。

「うぅっ……」

痛みが身体を突き抜けた。

「これがいいんだろぅ?」

私の唾液でぬめっていた肉の塊が乾いていく。

「い……、いや……ま、雅人、あっ、やめて、痛いよ、やめ、やめて……いや、あっ、や、やめてぇぇっ!」

涙声で叫ぶ私にやっと気付いた夫は、我に返って飛び退いた。

「ご、ごめん」

飲み下せなかった胃液が喉を焼き、思わす咳き込む。

これは行為ではなく、仕打ちだった。

ひりひりと膣内が傷んだ。

指で触れても、痛いばかりで湿り気がない。こんなやり方は初めてだった。夫の異常な意気込みに、私の身体はついていかなかった。

それとも、受け入れる事を何かが拒んだのだろうか。
私の、身体が……。


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