この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
歪んだ鏡が割れる時
第3章 第三章
違う、考え過ぎだ。
「お、おかしいよ雅人。どうしたの?」
「ごめん、つい、興奮し過ぎて……」
すまなそうにしている夫を見ると、やはり私のせいではないのだとほっとする。
仕事がうまくいってないのかも知れない。捌け口のないストレスが、彼を暴走させたのかも知れない。きっとそうだ。
それとも、何か勘づいているのだろうか。
自分のしでかした事が暗い影となり、夫を責める気持ちにはとてもなれない。
「透子、ごめん」
「いいの、大丈夫。……それより、今日はもうゆっくり寝た方がいいんじゃない?明日も仕事だし」
「……そうだね、そうする」
「ゆっくり寝てね、おやすみ」
「おやすみ」
ウェットティッシュに手を伸ばす夫を残し、部屋を出てバスルームに向かった。
触ると痛む外陰部は、シャワーのお湯さえ強く沁みた。柔らかいタオルでそっと押さえると、うっすらと血が滲んだ。
ちりちりと痛む身体にナプキンを当てて部屋に戻ると、夫は既に寝息を立てていた。
着信があったらしく、携帯電話が彼の枕元で点滅している。ベッドから落ちそうなそれを手に取り、サイドテーブルにそっと乗せた。
たとえ仕事の用事でも、くたびれた夫を起こしたくなかった。
眠れない夜だ。
寝返りを打つ度にそこが擦れて痛んだ。
背中を向けた夫が、次に私を欲しがるのはいつだろうか。その時私の身体は、彼を必要としてくれるだろうか。
ため息を付き、寝返りを打つ。
今夜はあの人を思い出さずにすむ。
この痛みがいつまでも続けばいい。
夜毎の哀しい一人遊びを、このまま忘れて眠りにつきたい。
「お、おかしいよ雅人。どうしたの?」
「ごめん、つい、興奮し過ぎて……」
すまなそうにしている夫を見ると、やはり私のせいではないのだとほっとする。
仕事がうまくいってないのかも知れない。捌け口のないストレスが、彼を暴走させたのかも知れない。きっとそうだ。
それとも、何か勘づいているのだろうか。
自分のしでかした事が暗い影となり、夫を責める気持ちにはとてもなれない。
「透子、ごめん」
「いいの、大丈夫。……それより、今日はもうゆっくり寝た方がいいんじゃない?明日も仕事だし」
「……そうだね、そうする」
「ゆっくり寝てね、おやすみ」
「おやすみ」
ウェットティッシュに手を伸ばす夫を残し、部屋を出てバスルームに向かった。
触ると痛む外陰部は、シャワーのお湯さえ強く沁みた。柔らかいタオルでそっと押さえると、うっすらと血が滲んだ。
ちりちりと痛む身体にナプキンを当てて部屋に戻ると、夫は既に寝息を立てていた。
着信があったらしく、携帯電話が彼の枕元で点滅している。ベッドから落ちそうなそれを手に取り、サイドテーブルにそっと乗せた。
たとえ仕事の用事でも、くたびれた夫を起こしたくなかった。
眠れない夜だ。
寝返りを打つ度にそこが擦れて痛んだ。
背中を向けた夫が、次に私を欲しがるのはいつだろうか。その時私の身体は、彼を必要としてくれるだろうか。
ため息を付き、寝返りを打つ。
今夜はあの人を思い出さずにすむ。
この痛みがいつまでも続けばいい。
夜毎の哀しい一人遊びを、このまま忘れて眠りにつきたい。