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お礼の時効
第1章 私と一緒に住みませんか?
「時任 春季(ときとう はるき)さん、私と一緒に住みませんか?」

自分の向かいで頬づえをついている男の顔を、春季はじっくり眺めていた。
春季の大学時代の同級生で現在は検事として働いている浅野 和臣(あさの かずおみ)は、5分前春季に一緒に住むよう提案してきた。

「あなたにお返ししたいものがあるのですが、すでに紛失してしまってね。返せそうにないんだ、だからお礼をさせてほしい」
「返す? 私にですか?」
「ええ、大学を卒業する前に仕上げた卒論のため、あなたからノートをお借りしていたんです。確か民法のノートでした」
「浅野検事、勘違いなさってませんか?」
「いや?間違いないですよ」
「もう14年も昔の話ですよね?それをお礼したいからといきなり呼び出されても困ります。しかもそのお礼が一緒に住むことだなんて聞いたことありません」
「だってこういうのには時効はないから、お礼をしたいときにできるんじゃないのかな? 時任さん、弁護士としての意見を聞かせてほしい」
「お礼の時効だなんて聞いたことがありません。それにそういったお礼は結構です」

付け入る隙が全くない春季に、マイペースで話を続ける浅野。
どうみても話は噛み合っていない。
だが浅野は幸せだった、なぜなら手を伸ばせばすぐ触れられるところに焦がれた春季がいるからだ。
浅野にとって春季は大学時代の同級生で、片思いをしていた相手だった。

「相変わらずあなたはつれない人ですね」
「浅野検事、話を聞いてますか?」
「やっとあなたと会えたのですから、もう少し私に付き合ってください」
「それでは失礼いたします」

自分の話を全く聞こうとしない浅野に呆れ果て、春季は席を立ち喫茶店を出ようとした。
するといきなり浅野に腕を捕まえられてしまう。

「何しているんですか?」
「腕を掴んでいるだけですよ?離したくないのでね」
「私は離れたいので、離してください」
「あなたの意見は聞かない。じゃ、行こうか」

浅野はそう言うと財布から紙幣を数枚取り出しテーブルに置くと、春季の腕を掴んだまま喫茶店を出た。
自分の腕を強引に引く浅野の背中を見て、春季は困惑していた。

「ちょっと! 離してっ、検事がこんなことしていいと思ってるの?」
「あなたが訴えたいなら訴えればいい」

春季の脅しにも浅野は何食わぬ顔で返してきた。
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