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お礼の時効
第4章 せっかく捕まえたと思ったら、逃げられたんです
暖かいぬくもりに包まれて、少しずつ意識が浮上してきた。
薄らに瞼を開くと浅野の胸に抱かれていた。
手の平から浅野の規則正しい鼓動が伝わり、春季はその胸に顔を埋めていた。

こんなにぐっすり眠ったのはいつ以来だろう、春季はぼんやりしながら考えていた。
少なくとも弁護士になってからは、こんなに満たされた目覚めはなかった。
人の体温と鼓動に催眠効果があるという話は聞いたことがないが、うとうとしてしまう。
浅野の胸から伝わる体温と鼓動のリズムが心地よくて、春季はもう少し微睡んでいたいと思った。

でもそろそろまずい、今日も仕事だから一旦マンションに戻ってシャワーを浴びて着替えなければ。
甘い一夜の次の日につい現実的なことを考えてしまう。春季はどうしたらこの腕の中から開放してもらえるのか考え始めた。
浅野の腕はもう離さないと言わんばかりにきつく春季を抱きしめていて、その胸に押し込められていた。

体を上にずらすと、浅野の顎があった。少し髭が伸びている。
薄らに開いた唇に昨夜どれだけ惑わされたことだろう。まるで自分の体になにかを上書きをするように、その唇は自分の体のいたるところに触れていた。
その時のことを思い出すと、自分の体の奥から何かがこみ上げてくる、切ないような温かいような何かが。

男の割に長い睫毛が揺れている。こうして間近で見ると眼鏡の奥に隠された浅野の素顔は理知的で、思った以上に整った顔をしていた。
昨夜浅野が見せた「男の本性」は、春季を飲み込んでしまうほどの色気を漂わせていた。
体をつなげた後のことは朧げにしか覚えていない。最初は痛みを感じたが、それはすぐに霧散し、身をよじるほどの快感が春季を襲った。

浅野の顔を見上げる。
ふと思い浮かんだことがあり、春季は浅野の耳たぶの下に吸い付いた。
ほんのり浮かんだ赤い痕にまた吸い付くと、どうやら浅野はそれで目が覚めたようだった。
浅野はまるで春季が腕の中にいることを確認するように、きつく抱きしめてきた。
これが浅野の自分に対する愛情なのかもしれない、そう考えると春季の心は温かくなった。
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