この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
お礼の時効
第7章 まだ春季の心にあの男がいる

その日から和臣はマンションに帰らない日が続いた。
時折裁判所で姿を見かけても、すぐに顔を逸らす。少し前の自分を思い出し、自嘲した。
それでも習慣は恐ろしいもので毎日二人分の食事を作り、冷蔵庫に入れてメモを残す。
もし和臣が、帰ってきたらと考えたからだ。
だが、和臣は帰ってこない。毎朝の習慣に一人分の食事を捨てる行為が加わった。
一人で生活していたときは、こんな思いは感じなかった。
自分の隣がいない寂しさをなんと言えばいいのだろう。
その日も和臣の姿を裁判所で見掛けた。相変わらず顔を逸らしている。その姿に胸が締め付けられて苦しくなって足早にその場を去った。
なんとか気持ちを切り替えて仕事を終えた。
マンションにもどり、二人分の食事を作りながら、ビールを飲んでいたとき、自分が泣いていることに気がついた。
ぬぐってもすぐに新しい涙が溢れててくる。どんどん胸が痛くなり息さえも辛くなった。
気が付くとその場に座り込み両手で顔を覆い泣きじゃくっていた。
あの男のせいだ、こんなに自分の心を丸裸にして
そんな言葉を心の中で繰り返していた。
あれほどもう恋愛はこりごりだと言っていたのに、自分を見失うほど和臣に惹かれているなんて。
自分の気持ちに気が付くとどんどん涙が溢れてきた。
どうしたらいいのかわからない。
そのとき玄関のドアを開く音が聞こえた。
靴を脱いで廊下を歩く足音は彼のものだ。
リビングのドアが開くと彼が入ってソファのあたりを眺めていた。
堪らず立ち上がり、和臣の頬を叩いてしまった。
時折裁判所で姿を見かけても、すぐに顔を逸らす。少し前の自分を思い出し、自嘲した。
それでも習慣は恐ろしいもので毎日二人分の食事を作り、冷蔵庫に入れてメモを残す。
もし和臣が、帰ってきたらと考えたからだ。
だが、和臣は帰ってこない。毎朝の習慣に一人分の食事を捨てる行為が加わった。
一人で生活していたときは、こんな思いは感じなかった。
自分の隣がいない寂しさをなんと言えばいいのだろう。
その日も和臣の姿を裁判所で見掛けた。相変わらず顔を逸らしている。その姿に胸が締め付けられて苦しくなって足早にその場を去った。
なんとか気持ちを切り替えて仕事を終えた。
マンションにもどり、二人分の食事を作りながら、ビールを飲んでいたとき、自分が泣いていることに気がついた。
ぬぐってもすぐに新しい涙が溢れててくる。どんどん胸が痛くなり息さえも辛くなった。
気が付くとその場に座り込み両手で顔を覆い泣きじゃくっていた。
あの男のせいだ、こんなに自分の心を丸裸にして
そんな言葉を心の中で繰り返していた。
あれほどもう恋愛はこりごりだと言っていたのに、自分を見失うほど和臣に惹かれているなんて。
自分の気持ちに気が付くとどんどん涙が溢れてきた。
どうしたらいいのかわからない。
そのとき玄関のドアを開く音が聞こえた。
靴を脱いで廊下を歩く足音は彼のものだ。
リビングのドアが開くと彼が入ってソファのあたりを眺めていた。
堪らず立ち上がり、和臣の頬を叩いてしまった。

