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お礼の時効
第9章 私と結婚してください

聞けば自分の一年後に春季は司法試験に合格したようで、もしも同じ司法修習を受けていたなら、もっと早くに声をかけていたのかも知れない。和臣はふとそう思った。
しかし当時の自分は目の前のことで手一杯で、余裕もない男ができることは限られている。検事として自信もついた頃だったからこそ、春季に声をかけれたのかもしれない。
一人物思いに耽る和臣の姿に気がついた春季は、読んでいた本を置いた。
「ねえ、何を考えているの? 教えて……」
和臣は春季を見つめ微笑んだ。
「私がどれだけ春季に夢中なのかってことをね、思い出していました」
春季はそれを聞いた途端そっぽを向いた。恥ずかしそうに頬を染めている。和臣は春季の手を取り指をからませた。左手の薬指をつかむと、結婚指輪が光っている。その指を和臣は自分の唇に当てキスをすると、春季がそれを見てますます頬を染めた。
「……恥ずかしいわ、やめて頂戴……」
消え入りそうな小さな声で訴える春季の顔を見ると、照れくさそうに微笑んでいた。
「奥様は照れ屋さんですね……」
和臣は春季の体を抱き寄せて唇を重ねた。
しかし当時の自分は目の前のことで手一杯で、余裕もない男ができることは限られている。検事として自信もついた頃だったからこそ、春季に声をかけれたのかもしれない。
一人物思いに耽る和臣の姿に気がついた春季は、読んでいた本を置いた。
「ねえ、何を考えているの? 教えて……」
和臣は春季を見つめ微笑んだ。
「私がどれだけ春季に夢中なのかってことをね、思い出していました」
春季はそれを聞いた途端そっぽを向いた。恥ずかしそうに頬を染めている。和臣は春季の手を取り指をからませた。左手の薬指をつかむと、結婚指輪が光っている。その指を和臣は自分の唇に当てキスをすると、春季がそれを見てますます頬を染めた。
「……恥ずかしいわ、やめて頂戴……」
消え入りそうな小さな声で訴える春季の顔を見ると、照れくさそうに微笑んでいた。
「奥様は照れ屋さんですね……」
和臣は春季の体を抱き寄せて唇を重ねた。

