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小田桐菜津子と七つの情事
第4章 四人目は同級生



そう聞いて、なぜか胸がドキリとした。
何年も前の出来事なのに。自分が誰よりも最初に鈴村ファンになった、と自覚していた。だから鈴村の涙の理由は、その後もずっとずっと気になっていた。
今こうして、酔ったイキオイで、その開かずの扉が開かれようとしている。

「フラれたって、誰に?」
「一つ上の先輩に」
「先輩って、バスケ部の東海林先輩?」
「なんで知ってるの?」
「そりゃ、」
と言って、思わず口ごもってしまった。それは、惚れた相手のことは何でも知っていたかったからだ。
そして悔し紛れにオレは、質問に質問で答えた。

「実際のトコ、東海林先輩と付き合ってたのかよ?」
「まぁ、付き合ってたって言えば付き合ってたのかな。一緒に帰ったり、予備校行ったり、映画見たり…。 今にしてみれば可愛らしい関係なんだけどね。あの頃はそういうひとつひとつが宝物みたないものでしょ?」
「へぇー。鈴村みたいな暴れ馬は、やっぱ年上のオトコじゃないと手綱を引けないのかもな」
「えー、良く言うよ、自分だって女バレの後輩に手を出してたの知ってんだからね」

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