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小田桐菜津子と七つの情事
第4章 四人目は同級生
そう。
ある秋の日、放課後の教室に参考書を取りに帰ったら、鈴村の席に三人の女子が集まり、何かを話しているところに出くわした。
何話してんの?、という軽い問いかけに、振り向いた鈴村の顔が涙で濡れているのを見て、オレは猛烈に動揺した。
口の中がカラカラに乾いて、何を言って良いのか全くわからなくなってしまった。
だからつい、
「なんだよ、鈴村みたいな奴でも泣くことあんだな」
って言って、彼女達が言い返す前に教室を走り出していた。
「ヒドい人だよね、ってあの時八重子も美里も笛木くんのこと、ボロクソに言ってたんだよ」
三杯目のビールを飲みながら、鈴村は笑ってそう言った。
「知るかよそんな昔のコト」オレも軽くそう答えながら、「でも実際なんで泣いてんだ、あの時」って続けた。
「内緒よ」
「なんだよ今さら」
ふふ、と鈴村は笑った。
「フラれたの。あの時、私」