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小田桐菜津子と七つの情事
第5章 五人目の戸惑い
八朔:何をしているの?
矢上:
答えられない。
利き手が彼女の右脇に挟まれているから。
八朔:逃がさないからねw
矢上:すみません
八朔:謝ってばっかりね
矢上:スゴく…きれいだったから…
八朔:触りたくなっちゃった?
矢上:…つい
八朔:いいのよ
矢上:え?
八朔:その先まで…来ても
そう言って八朔さんは、締めた脇を緩めた。ぼくの右手に自由が戻る。ぼくはそのまま…右手を脇の先に進めた。
ブラのラインをたどって…シャツの胸まで。
右手の指先が…その…ふくらみを捉えた。
手のひらの中に収まるくらいの小ぶりなふくらみ。
だけどシャツのサラサラした生地越しでも、それは、硬かった。ブラジャーのカップのせいだって分かった。
左手に握りしめたスマホがブン、と震えた。
同時にぼくらの背後で、自動ドアがシュルルっ…と開く音がした。
ぼくは八朔さんのふくらみを捉えた手を引っ込め、彼女は何もなかったように優雅に椅子に座り直した。
通路に背を向けているぼくの背中に、誰かが通り過ぎてゆく気配を感じた。
八朔:ねぇ?
八朔さんからのメッセージが届いていた。
八朔:…次の駅で、途中下車、しょっか?