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小田桐菜津子と七つの情事
第5章 五人目の戸惑い
「はっさくさん、はっさくさんっ!」
大きな声で名前を呼びながら、彼女にきつくきつく抱きしめられた。
そして彼女は身体を弛緩させた。
目を開けられないくらいの大きな波に、身体ごと、持ち去られたような。そんな気分だった。
ぼくたちは抱き合う腕を放ち、ベッドに仰向けに並んで寝た。
「ありがとう…すごく……素敵だった」
八朔さんはそう言ってくれた。
女のひとにそんなことを言われたのは、初めてのことだった。
けれどぼくは自然に、返す言葉を見つけていた。
「相手が八朔さんだからです。こちらこそ…ありがとうございます」
「まぁ」クスクス笑い。「立派なお返事ね」
ぼくも照れ笑いを浮かべた。
しばらくふたりして、黙って天井を見上げた。
それから八朔さんの手が、ぼくの股間に伸びてきた。