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小田桐菜津子と七つの情事
第5章 五人目の戸惑い
東京に帰ったぼくは、東京の彼女ともう少し上手く付き合おうと思った。もっと心を開いてSEXできるよう、努力しようと。
そんなぼくの変化を彼女は敏感に察知した。
そんな風にしないで、とある時ベッドの中で言われた。誰かの影を私に求めないで、と言って彼女は背中を向けて泣いた。
ぼくは何をどうしたらいいのかわからなくなった。
わからなくて、朝方の人気ない街を何日も何日も何日も歩いた。
いつかばったり、あのひとに会えるのではないか、と思いながら。
しかしそんなことは起こる訳もなく、ぼくは途方にくれた。
そうしていつしか彼女の傷は癒え、その笑顔が戻った。ぼくらはまた、以前のように穏やかに交わっていた。とりたてて語ることのない、静かなSEXをした。
ぼくたちが別れたのは、それから半年ほどしてからのことだった。